





「彼らはトオストにバタを塗って、角のところから平和に食べ始める。午前12時3分。」
戦前の前衛詩を牽引し、建築・デザイン・写真にも精通したモダニズムの詩人、北園克衛が1930年代に試みた小説集。いつの時代も色褪せることのないこの詩人の魅力は、ますます増大し続けています。
詩の印象とほど近い、うっとりするほど美しくメランコリックな物語。
真昼の高層ビル、珈琲店、ショーウィンドウのマヌカン、インキ瓶の中に沈む街。非現実の空間にオブジェを配置するように綴られるイメージは、まるでキリコの絵のようです。
発行:幻戯書房
発行年:2015年
サイズ:四六判
ページ:253p